【2023年法改正】民法改正で遺産分割のルールが変わる!遺産分割の期限は10年?

2022年の時点では、遺産分割には期限がもうけられていません。相続開始後いつでも遺産分割できますし、遅くなっても特にペナルティもありません。

しかし、2021年3月に成立した「民法等の一部を改正する法律」により、遺産分割のルールが変わって、基本的に10年以内に手続をしないと不利益を受ける相続人が出てきます。

この記事では、2023年から施行される改正民法における遺産分割の新ルールについて説明します。

相続人となった方、相続人になる予定の方は、ぜひ参考にしてください。

10年以内に遺産分割しないと「法定相続分」による相続となる

現在の法律では、相続開始後何年が経過しても、特別受益や寄与分を考慮した遺産分割ができます。

特別受益、寄与分とは、以下のようなものです。

特別受益

特定の相続人が被相続人から生前贈与や遺贈などを受けて得た利益のことをいいます。

特別受益のある相続人がいる場合、特別受益の持戻し計算を行なって、みなし相続財産とし、当該相続人の相続分を減らすことができます。

寄与分

特定の相続人が相続財産の増加や維持に対して特別の貢献をした場合に認められる多めの遺産取得割合のことをいいます。

たとえば、被相続人を献身的に介護した場合などに、寄与分が認められることがあります。

法改正後のルール

法改正後は、相続開始後10年が経過すると「特別受益の持戻し計算」や「寄与分」の主張ができなくなります。基本的に、法定相続分で遺産分割しなければなりません。

改正法の施行後は、特別受益や寄与分の主張をしたい方は、相続開始後10年以内に遺産分割をしないと不利益を受ける可能性があります。

例外的に具体的相続分で相続できるケース

ただし、以下のような場合には、相続開始後10年が経過しても特別受益の持戻し計算や寄与分を考慮した遺産分割ができます。

  • 相続開始から10年が経過する前に、家庭裁判所へ遺産分割請求(調停や審判の申立て)が行われた場合
  • 相続開始から10年の期間が満了する前の6か月以内の間に、遺産分割の請求ができないやむを得ない事由があった場合、その事由が消滅した時から6か月経過前に相続人が家庭裁判所に遺産分割請求(調停や審判の申立て)をした場合

また、相続開始後10年が経過していても、相続人が話し合って特別受益や寄与分を反映した具体的相続分に従って遺産分割することに合意すれば、具体的相続分によって遺産分割してもかまいません。

経過措置

改正法の適用時期については、以下のとおり、経過措置がもうけられています。

  • 改正法の施行時において、相続開始から10年が経過している場合…施行時から5年の猶予期間が与えられます。
  • 相続開始時から10年を経過するタイミングが施行時から5年を経過するタイミングよりも前の場合…施行時から5年の猶予期間が与えられます。
  • 相続開始時から10年を経過するタイミングが施行時から5年を経過するタイミングより後の場合…施行時から5年の猶予期間は適用されず、相続開始時から10年以内に遺産分割しなければ法定相続分による遺産分割となります。

以上のように経過措置はありますが、遺産分割に関する期限の規定は改正法施行前の相続にも適用されるので、 相続人の立場になったら早めに遺産分割をすることが重要です。 

施行日

改正法の施行日は、2023年4月1日です。

武蔵野経営法律事務所では、遺産相続に関するサポートに力を入れています。遺産分割についてご不明点がありましたら、お気軽にご相談ください。

この記事の執筆者

加藤 剛毅弁護士 元さいたま家庭裁判所家事調停官
専門分野:相続、不動産、企業法務
経歴:埼玉県立熊谷高校から早稲田大学法学部に進学。卒業後、平成16年に弁護士登録。平成21年に地元である埼玉に弁護士会の登録替え。平成26年10月より、最高裁判所よりさいたま家庭裁判所の家事調停官(いわゆる非常勤裁判官)に任命され、4年間にわたり、週に1日、さいたま家庭裁判所に家事調停官として勤務し、数多くの相続事件を担当。平成30年5月に武蔵野経営法律事務所を開業し、現在に至る。

家事調停官の経験を活かし、相続事件の依頼者にとって最適な解決に導くサポートを実施している。

家事調停官時代の件数を含めて、相続事件の解決実績は500件以上に上り、地域内でも有数の実績である。

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