特別縁故者とは?相続人でなくても遺産を受け取れる条件・手続きを弁護士が解説

「長年一緒に暮らしてきたのに、法律上の相続人ではないと言われた」

「身寄りのない親族の介護や生活の支援をしてきたが、遺産を受け取ることはできないのだろうか」

「相続人がいないため、亡くなった方の財産は国に帰属すると聞いた」

このようなお悩みを抱えていませんか。

亡くなった方の法律上の相続人ではなくても、生前の関係や生活状況、介護・療養看護の内容などによっては、「特別縁故者」として相続財産の全部または一部を受け取れる可能性があります。

もっとも、亡くなった方と親しかったことや、介護をしていたことだけで、当然に財産を受け取れるわけではありません。家庭裁判所へ申立てを行い、亡くなった方との関係や、これまで行ってきた支援の内容を、客観的な資料に基づいて具体的に示す必要があります。

また、特別縁故者に対する相続財産分与の申立てには期限があります。相続財産清算人が選任されている方や、すでに家庭裁判所で手続が進んでいる方は、できるだけ早めに弁護士へご相談ください。

このような方は特別縁故者に該当する可能性があります

次のような事情がある方は、特別縁故者として相続財産の分与を受けられる可能性があります。

●内縁の夫・妻など、亡くなった方と長年にわたり生活を共にしていた方

いとこなど、法律上の相続人ではないものの、亡くなった方と親しい関係にあった親族

●長期間にわたり、介護や通院・入院生活の支援を行っていた方

●食事や買物、金銭管理など、亡くなった方の日常生活を継続的に支えていた方

●親族ではないものの、家族同然の関係を築き、身の回りの世話や葬儀などを担った方

もっとも、上記の事情があれば、必ず特別縁故者として認められるわけではありません。

一緒に生活していた期間、介護や生活支援の内容、亡くなった方との交流状況など、さまざまな事情を踏まえて家庭裁判所が個別に判断します。

ご自身が特別縁故者に該当する可能性があるか分からない場合も、亡くなった方との関係や、これまで行ってきた支援について弁護士へご相談ください。

特別縁故者とは

法律上、亡くなった方を「被相続人」といいます。

被相続人に相続人がいる場合、原則として、その相続人が遺産を引き継ぎます。

一方で、戸籍を調査しても相続人の存在が明らかでない場合や、相続人全員が相続放棄をしたことで相続する方がいなくなった場合には、家庭裁判所への申立てによって「相続財産清算人」が選任されることがあります。

相続財産清算人は、被相続人の預貯金や不動産などを管理し、債権者に対する支払いなどの清算手続を行います。清算後に財産が残り、相続人も現れなかった場合、残った財産は原則として国庫に帰属します。

ただし、被相続人と特別な関係にあった方から申立てがあり、家庭裁判所が相当と認めた場合には、清算後に残った相続財産の全部または一部がその方に分与されることがあります。

この制度を「特別縁故者に対する相続財産分与」といいます。

特別縁故者として申立てができる方

特別縁故者として申立てができる方は、主に次の3つに分けられます。

●被相続人と生計を同じくしていた方

●被相続人の療養看護に努めた方

●その他、被相続人と特別の縁故があった方

被相続人と生計を同じくしていた方

内縁の夫・妻や事実婚のパートナーなど、被相続人と一緒に暮らし、生活費を共同で負担していた方などが考えられます。

ただ同じ住所に住んでいたというだけではなく、実際にどのような生活を送っていたか、経済的・精神的にどの程度支え合っていたかなどが判断材料となります。

被相続人の療養看護に努めた方

被相続人の通院や入院に付き添ったり、自宅で介護をしたり、食事や買物などの日常生活を継続的に支援していた方です。

介護をしたという事実だけでなく、介護を行った期間や頻度、具体的な内容、被相続人との関係などを整理する必要があります。

その他、被相続人と特別の縁故があった方

上記の2つに明確に当てはまらない場合でも、被相続人と家族同然の関係にあった方や、長年にわたって生活を支えてきた親族、友人・知人などが認められる可能性があります。

特別縁故者に該当するかどうかは、親族であるか、同居していたかという一つの事情だけで決まるものではありません。被相続人との具体的な関係を総合的に整理することが重要です。

当事務所の解決事例

家庭裁判所の却下審判が高裁で取り消され、約3,000万円の財産分与が認められた事例

当事務所では、被相続人のいとこからご依頼を受け、相続財産清算人選任申立ておよび特別縁故者に対する相続財産分与申立てを行った事例があります。

家庭裁判所では財産分与の申立てが却下されましたが、東京高等裁判所に即時抗告した結果、家庭裁判所の審判が取り消され、相続財産の約4分の1に当たる約3,000万円の分与が認められました。

※解決結果は、被相続人との関係や相続財産の内容、提出された資料など、個別の事情によって異なります。また、家庭裁判所で申立てが却下された場合に、必ず即時抗告ができる、または判断が覆るというものではありません。

▽解決事例はこちら▽

家庭裁判所で却下された特別縁故者への相続財産分与の申立てが、東京高等裁判所への即時抗告により認められ、相続財産の約4分の1に相当する3000万円の分与を受けた事例

特別縁故者の申立てで重要な3つのポイント

1.申立てには期限があります

特別縁故者に対する相続財産分与は、いつでも申し立てられるわけではありません。

家庭裁判所が行う相続人捜索の公告で定められた期間が満了した後、3か月以内に申立てを行う必要があります。申立先は、原則として被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所です。

また、相続財産清算人が選任されたからといって、特別縁故者への財産分与の手続が自動的に始まるわけではありません。

相続財産清算人の選任申立てと、特別縁故者に対する相続財産分与申立ては別の手続です。財産分与を希望する方は、改めて期間内に申立てを行う必要があります。

相続財産清算人や家庭裁判所から申立期間の連絡が行われるとは限らないため、申立てを検討している方が自ら期間を確認することが大切です。現在どの段階まで手続が進んでいるか分からない場合も、そのままにせず、早めに確認しましょう。

2.被相続人との関係を資料によって示す必要があります

特別縁故者として認めてもらうためには、「長年親しくしていた」「家族同然の関係だった」「介護をしていた」と説明するだけでなく、その内容を具体的な資料によって裏付けることが重要です。

特別な縁故があったことを示す資料としては、例えば次のようなものが考えられます。

●被相続人からの手紙や年賀状、日記やメモ

●被相続人と一緒に写っている写真

●メールやメッセージのやり取り

●介護や通院、入院に関する記録

●生活費、医療費、介護費用、葬儀費用などの領収書

●申立人や共通の知人、親族などが作成した陳述書

ただし、資料を大量に提出すれば認められるというものではありません。

被相続人との関係がいつから始まり、どのような交流があり、具体的にどのような支援を行ってきたのかを時系列で整理し、それぞれの事実を資料と結び付けて説明する必要があります。

写真や手紙が十分に残っていない場合も、他の資料や関係者の陳述などによって補える可能性があります。手元の資料だけで判断せず、まずは弁護士に確認することをおすすめします。

3.申立てをしても必ず財産を受け取れるわけではありません

特別縁故者に対する相続財産分与は、申立てをすれば必ず認められる制度ではありません。

家庭裁判所が、被相続人との関係や支援の内容、期間などを踏まえ、「財産を分与することが相当である」と判断した場合に、清算後に残った財産の全部または一部が分与されます。

また、特別縁故者として認められた場合でも、残っている財産のすべてを受け取れるとは限りません。被相続人との関係や、申立人が行った支援の内容、相続財産の種類・金額などを踏まえ、どの程度の財産を分与することが相当かについても家庭裁判所が判断します。

そのため、申立てにあたっては、単に「財産を受け取りたい」と主張するのではなく、被相続人との具体的な関係や、申立人が果たしてきた役割を丁寧に整理することが重要です。

特別縁故者に対する相続財産分与の手続の流れ

STEP1 相続人と遺言書の有無を確認する

まずは、戸籍を収集し、被相続人に法律上の相続人がいないかを調査します。また、被相続人が遺言書を残している場合には、遺言の内容によって財産を受け取れる可能性があるため、遺言書の有無も確認します。相続人がいないと思っていても、戸籍をたどることで把握していなかった相続人が見つかる場合があります。最初から特別縁故者の手続だけを考えるのではなく、相続関係全体を確認する必要があります。

STEP2 相続財産清算人の選任を申し立てる

相続人の存在が明らかでない場合や、相続人全員が相続放棄をして相続する方がいなくなった場合には、家庭裁判所に相続財産清算人の選任を申し立てます。特別縁故者となる可能性がある方も、利害関係人として選任申立てを行える場合があります。なお、相続財産の内容によっては、清算人の報酬や財産管理に必要な費用として、申立人に予納金の納付を求められることがあります。

STEP3 相続財産の調査・清算と相続人捜索の公告が行われる

選任された相続財産清算人が、被相続人の預貯金や不動産などの財産、借入金や未払金などの債務を調査します。その後、債権者への支払いなどを行い、相続財産を清算します。あわせて、家庭裁判所によって相続人を捜索するための公告が行われます。公告期間内に相続人として権利を主張する方が現れなかった場合、特別縁故者への相続財産分与を申し立てる段階へ進みます。

STEP4 特別縁故者に対する相続財産分与を申し立てる

相続人捜索の公告期間が満了した後、3か月以内に家庭裁判所へ申立てを行います。申立書のほか、申立事情説明書、提出資料説明書、申立人の住民票または戸籍附票などが必要となり、事案によっては追加資料の提出を求められることがあります。

STEP5 家庭裁判所による審理・審判

家庭裁判所が提出された申立書や資料を確認します。審理のため、追加の書面を求められたり、申立人が直接事情を尋ねられたりする場合もあります。そのうえで、申立人に相続財産を分与するか、分与する場合にはどの財産をどの程度与えるかが判断されます。

特別縁故者の手続きを弁護士に相談するメリット

特別縁故者に該当する可能性を検討できる

特別縁故者に該当するかどうかは、単に親族であるか、同居していたかという一つの事情だけでは判断できません。弁護士が、被相続人との関係、介護や生活支援の内容、交流期間、手元にある資料などを確認し、申立てを検討できる事案かを整理します。

相続財産清算人の選任から手続全体を整理できる

相続財産清算人がまだ選任されていない場合には、相続人調査や財産調査を行ったうえで、清算人選任申立てから準備する必要があります。一方、すでに清算人が選任されている場合には、現在の手続状況や申立期限を確認し、財産分与申立ての準備を進めます。弁護士に相談することで、現在どの段階にあり、次に何をすべきかを整理できます。

被相続人との関係を伝わる形に整理できる

ご本人にとっては大切な思い出や日常的な支援であっても、それを家庭裁判所に伝わる形で整理することは簡単ではありません。被相続人との関係を時系列で整理し、それぞれの事実を裏付ける資料を選定したうえで、申立書や事情説明書に反映することが重要です。

申立書類の作成や裁判所への対応を任せられる

特別縁故者の申立てでは、複数の書類や資料を準備し、必要に応じて裁判所からの照会や追加資料の提出に対応する必要があります。弁護士に依頼することで、申立書類の作成から家庭裁判所への対応まで、一貫してサポートを受けることができます。

特別縁故者に関するよくあるご質問

Q.いとこでも特別縁故者になれますか?

いとこは通常、法律上の相続人には含まれませんが、被相続人との具体的な関係によっては、特別縁故者として認められる可能性があります。親族であるという事実だけではなく、生前の交流、介護や生活支援の内容、関係が続いた期間などが重要になります。

Q.内縁の妻・夫は遺産を受け取れますか?

婚姻届を提出していない内縁の妻・夫は、原則として法律上の配偶者として相続人になることはできません。ただし、被相続人と生計を同じくしていた方などとして、特別縁故者に対する相続財産分与を受けられる可能性があります。同居期間や生活費の負担、日常生活の状況などを具体的に整理する必要があります。

Q.同居していなくても特別縁故者として認められる可能性はありますか?

同居していなかったという理由だけで、直ちに対象外になるとは限りません。定期的に訪問して介護や生活支援を行っていた場合や、被相続人が入院・施設入所した後も継続的に身の回りの世話をしていた場合など、具体的な関係によっては認められる可能性があります。

Q.証拠があまり残っていなくても申立てできますか?

写真や手紙などが少ない場合でも、申立ての可能性が直ちになくなるとは限りません。医療・介護記録、領収書、メール、知人や親族の陳述書など、さまざまな資料によって関係を示せる可能性があります。どのような資料が利用できるかは事案によって異なるため、手元にある資料を弁護士へお持ちください。

Q.家庭裁判所で申立てが認められなかった場合、争うことはできますか?

申立てが却下された場合には、まず審判の内容や却下された理由を確認する必要があります。審判の内容によっては即時抗告を検討できる場合がありますが、すべてのケースで即時抗告を行うことが適切とは限りません。提出済みの主張や資料、審判の理由などを踏まえて、個別に慎重な検討が必要です。不服申立てには期限があるため、審判書を受け取った場合は、できるだけ早く弁護士へご相談ください。

特別縁故者として財産分与を希望する方は、早めにご相談ください

特別縁故者に対する相続財産分与は、法律上の相続人ではない方が、被相続人との生前の関係に基づいて財産を受け取れる可能性がある制度です。

一方で、申立期間が定められており、申立てを行えば必ず財産を受け取れるものではありません。被相続人との関係や、これまで行ってきた介護・生活支援の内容を丁寧に整理し、客観的な資料によって家庭裁判所へ伝える必要があります。

当事務所では、相続人や遺言書の調査、相続財産清算人の選任申立て、特別縁故者に対する相続財産分与申立てなど、状況に応じたサポートを行っています。

●自分が特別縁故者に該当するか分からない

●相続財産清算人が選任されたが、次に何をすればよいか分からない

●被相続人の介護や生活支援をしてきたことを、どのように証明すればよいか分からない

●申立期限がいつまでなのか分からない

このような場合は、被相続人との関係や現在の手続状況について、まずは当事務所へお聞かせください。申立期間を過ぎてしまう前に、できるだけ早くご相談いただくことをおすすめします。

04-2936-8666

04-2936-8666

平日9:00~20:00

お気軽にお電話ください

04-2936-8666

受付時間:平日9:00~20:00