遺留分と遺留分侵害額請求

遺留分について 目次

遺留分について知りたい方へ

遺留分侵害されている場合

遺留分侵害している場合

 

遺留分とは?

遺留分とは、相続に際して、被相続人の財産のうち、一定の相続人に承継されるべき最低限の割合のことです。

被相続人は、原則として、遺言なり生前贈与によって、自由にその財産を承継させることができるのですが、遺留分はこれに対して一定の制限効果を持ちます。

例えば、被相続人が遺言や生前贈与で、全財産を特定の子供だけに譲るとか、愛人に譲る、というような場合に、遺留分請求を行うことができます。

遺留分は放っておいても当然にもらえる、というわけではありませんので、請求する必要があります。これを「遺留分侵害額請求」と言います。

遺留分侵害額請求をしたいとき遺留分侵害額請求をされたときは、まずは正しい遺留分の額を把握しましょう。そのうえで遺留分侵害額請求をするか・遺留分侵害額請求に対してどのように対処するのか決めていきましょう。下記が遺留分の割合を説明した図になります。

ご自身でわからない場合は当事務所にお越しいただき、一緒に計算することも可能です。

 

遺留分割合の例

① 法定相続人が配偶者と子の場合

配偶者:相続財産の1/4

子:相続財産の1/4

② 法定相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合

配偶者:相続財産の1/2

兄弟姉妹:遺留分なし

※同順位の相続人が複数いる場合は人数に応じて均等割りとなります。

遺留分侵害されている場合

遺留分侵害している場合

 

遺留分の知らないと怖い落とし穴

遺留分侵害額請求は、遺留分を侵害されていることを知った時、例えば、遺言書が見つかり、全く自分には相続財産を与えてもらえなかったことが分かった時などから1年以内に行う必要がありますので、注意が必要です。

また、あまりないことかもしれませんが、遺留分を侵害されていることを知らなくても、相続開始から10年経つと請求できなくなりますので、遺留分侵害額請求をしたい場合はお早めに動かれることをお勧めしています。

当事務所では、遺留分侵害額請求を考えられている方・遺留分侵害額請求をされた方に対して、サポートを行っております。

 

遺留分侵害されている場合

遺留分侵害している場合

 

遺留分侵害額請求を考えられている方へ

・相続財産の大半を他の兄弟に譲るという遺言が見つかった

・父が生前に愛人に大半の財産を贈与していた

・母が、面倒を見てくれた施設や団体に、全財産を寄付する遺言を残していた

このような方は、相続財産を最低限受け取る権利である、遺留分が侵害されているおそれが高いと考えられます。

その場合、遺留分侵害額請求をすることで、財産の一部を取得できる可能性があります。

遺留分侵害額請求をするには

遺留分侵害額請求をするには、裁判所に行かなくとも、相手方(ここでは遺産を受け取る人や贈与財産を受け取った人)に内容証明郵便などで意思表示をすれば足ります。

しかし、相手方と協議することで遺留分を取り返せるとは限らず、応じてもらえない場合も多々あります。応じてもらえない場合は、家庭裁判所に調停の申立てをして、調停委員を介しての話合いとなります。その調停も不成立の場合は、最終的には訴訟(遺留分侵害額請求訴訟)を起こすことになります。

遺留分侵害額請求をするときには、自分一人で調べて進めるのは難しいことですので、弁護士に法的主張の組み立て方や協議・調停・裁判における主張・立証についてサポートを受けることで、より最適な解決に向けて進めることができます。

遺留分侵害額請求を弁護士に依頼すべき理由

遺留分侵害額請求はご自分で進めることも可能ですが、下記にある事例のように、相続財産の調査や遺留分の算定、協議や調停の進め方などを熟知した弁護士にご依頼いただくことが、最終的には最適な解決に至る近道となります。

当事務所の弁護士は、さいたま家庭裁判所家事調停官としての経験も含め、相続案件解決実績500件以上の経験から、遺留分侵害額請求の協議や調停での法的主張の組み立て方や必要な証拠、裁判に移行することを見据えた対応に精通しています。

自分の遺留分が明らかに侵害されている、見知らぬ人や団体に故人の財産全てを持っていかれるのはおかしい、などのお困り事がありましたら、お早めに弁護士にご相談下さい。

弁護士にご依頼いただき、遺留分侵害額請求をした事例

相談内容

母が亡くなったあと、自筆証書遺言が見つかったのですが、その内容が、ご依頼者様の姉にすべての財産を相続させるという内容であったため、ご依頼者様である妹が姉に対して遺留分の請求をしたい、というご相談でした。

なお、父は既に亡くなっており、相続人は姉妹2人のみでした。

 

当事務所の対応

争点

1.母の介護への貢献に対する謝礼金の主張

姉は、生前に母の介護をするなどの面倒をみていました。

姉は、母から、毎月介護の謝礼を受け取っていましたが、母の生前、受け取る約束をしていたものの、まだ残り240万円を受け取っていないので、その分は、ご依頼者様が主張している遺留分の額から控除するという主張がありました。

2.母が有していた借地権の評価額

母は都内の土地の借地権とその土地の上に建っている自宅を所有していました。ご依頼者様も姉も、その家に住むことは考えていなかったので、その借地権と自宅を処分することには争いはありませんでした。

しかし、借地権評価額が、諸事情により、姉側では低く見積もられており、ご依頼者様が主張する評価額との間に相当の開きがありました。

3.姉妹が受け取った生前贈与の扱い

姉妹は、被相続人である母の生前に、それぞれ200万円の贈与を受けていました。

両者ともに受け取ったことは認めていましたが、ご依頼者様は、父が亡くなったときの遺産分割協議の際に、その生前贈与について精算済みであり、他方、姉は精算をしていないので、母からの200万円の生前贈与については、姉のみ、特別受益として、持ち戻しの対象とすべきであると主張していました。

 

弁護士による解決までの流れ

当職から、ご依頼者様の姉に対し、遺留分侵害額請求権を行使する旨の内容証明郵便を送付したあと、姉にも弁護士が代理人に就きましたので、その後は、当職と、姉の代理人との間でも交渉となりましたが、ご依頼者様の主張を受けて、それぞれの争点については、以下のとおり、交渉を進めました。

 

1.母の介護への貢献に対する謝礼金の主張

母の生前に、母との間で、姉が母から240万円の謝礼を受け取るとの合意があったので、240万円を控除するとの主張に対しては、ご依頼者様の意向どおり、そのような控除は認められないとの主張を展開しました。

といいますのは、万一、遺留分に関する交渉が決裂し、裁判になったとしても、母と姉との間にそのような合意があったことを立証する客観的証拠がないため、姉の主張が裁判で認められる可能性は低いと考えられたからです。また、仮に裁判で寄与分主張がなされたとしても、寄与分の主張は遺留分の額の減額理由にはならないからです。

 

2.母が有していた借地権の評価額

当職が、当初、路線価基準にて評価をしたところ、姉側の主張としては、母が生前、地主との間で、自分が亡くなったら自宅を取り壊して更地にして土地を返還するという口約束をしていたこと、借地権を譲渡するには賃貸人である地主の承諾が必要となりますが、地主が承諾する見込みがないこと、仮に、地主が承諾するとしても、承諾料を請求される可能性が高いことなどの事情から、不動産会社の査定額は、路線価基準による評価額よりも相当低額なものでした。

この争点については、姉側の主張にも一理ありますので、交渉が決裂して裁判になった場合、姉側の主張が認められる可能性が高いことを考慮し、姉側の主張に譲歩することをご依頼者様に提案し、納得していただきました。

 

3.姉妹が受け取った生前贈与の扱い

生前贈与の持ち戻しの争点については、精算したことの立証が難しいことや、裁判になった場合に要する時間・費用・労力を考慮し、双方の主張の間をとって、200万円の半額だけ持ち戻す、ということで合意を得るように提案したところ、ご依頼者様に納得していただきました。

 

結果

最終的には、交渉により合意が成立し、裁判をせずに解決に至りました。合意内容としては、ご依頼者様が遺留分を主張した際の姉からの最初の提示額は約400万円でしたが、粘り強く交渉した結果、約600万に増額することができました。

 

弁護士所感

それぞれの争点について、もし、交渉が決裂し、裁判になった場合に裁判所が出すと予想される判決まで見通したうえで、そこから逆算して、交渉の段階で、どのような主張をすべきかを方針としてご依頼者様に丁寧にご説明し、納得を得たことで、最終的に交渉は決裂せずに、比較的早期に解決に至ることができました。

遺留分侵害額請求をされてしまった方へ

・生前に決めていたとおり、父の遺言に沿ってすべての財産を相続したら、突然、他の相続人が遺留分侵害額請求をすると言ってきた

・被相続人の財産を相続した後に、他の相続人に就いた弁護士から遺留分侵害額請求をするとの内容証明郵便が届いた

もし、あなたがこのような状況の場合は、できるだけ早く弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。上記のような、遺留分侵害額請求をされてしまった場合に適切な措置をせずにいると、大きなトラブルになるおそれが高いと考えられます。

遺留分侵害額請求に対して適切な措置をせずにいると…

遺留分侵害額請求に対して適切な措置をせずにいると、下記のようなことが起こりえます。

・協議で済むはずの内容だったのに、調停や裁判にまで発展してしまい、金銭や時間、加えて精神的に消耗することになってしまう

いずれにしても、遺留分侵害額請求に対して適切な措置をせずにいると、双方にとって不幸な事態につながりかねません。

遺留分侵害額請求をする権利は民法上認められている権利であるため、遺留分侵害額請求をされた場合は、何らかの対応をする必要があります。

とはいえ、突然、遺留分侵害額請求をされたとき、どうすればよいかわからないかと思います。

そこで、まずは、相続問題に強い弁護士にご相談いただくことで、対応策を検討することをお勧めいたします。

遺留分侵害額請求をされてしまったらまずは弁護士にご相談を

遺留分侵害額請求をされてしまったとき、適切な措置を早めにとる必要がありますが、実際にどうすればよいかはその場合によって異なります。また、相手方に弁護士が就いている場合が多く、そのままにしていると協議の場や調停に進展した場合に不利に進むおそれが高いです。

当事務所の弁護士は、さいたま家庭裁判所の家事調停官としての経験も含め、相続案件解決実績500件以上の経験から、遺留分侵害額請求をされてしまった場合の協議や調停での法的主張の組み立て方や必要な証拠、裁判に移行することを見据えた対策や対応に精通しており、最適なサポートを提供いたします。

・生前に決めていたとおり、父の遺言に沿ってすべての財産を相続したら、突然、他の相続人が遺留分侵害額請求をすると言ってきた

・被相続人の財産を相続した後に、他の相続人に就いた弁護士から遺留分侵害額請求をする旨の内容証明郵便が届いた

など、遺留分侵害額請求をされてお困りでしたら、お早めに弁護士にご相談下さい。

 

 

遺留分侵害額請求をされてしまい、弁護士にご相談いただくことで解決した事例

相談内容

ご相談者は60代の女性でした。

亡くなった母親が、自分に全財産を相続させる旨の遺言を作成していたため、その遺言どおりに遺産を相続したところ、父親の異なるご相談者の異父きょうだいから、ご相談者に対し、500万円の遺留分侵害額請求をされたとのことでご相談がありました。

ご相談者としては、全く音信不通の異父きょうだいからの突然の請求ということで感情的になってしまっており、最初は無視するつもりだったようですが、ご相談に同席したご主人とお話ししているうちに、きちんと対応したほうがよいということになり、正式に、代理人として対応することでご依頼を受けました。

当事務所の対応

当職が、ご依頼者様の代理人として、遺留分侵害額請求をしてきた異父きょうだいに対し、代理人として受任した旨の通知(受任通知)を発送したところ、相手方にも代理人が就き、代理人から当方に連絡がありました。

その後、当方から不動産に関する資料等の関係資料を取得して提示し、その他の争点についても当方の主張を尽くし、相手方の代理人と交渉を重ねた結果、先方の当初の提示額である500万円から200万円を減額した300万円を支払うことでご依頼者様の納得も得て合意が成立し、早期解決に至りました。

本件では、①双方に代理人が就いたことで交渉が比較的スムーズに進行したこと、②交渉が決裂して裁判になった場合の最終的な裁判所の判断の見通しを見据えたうえで、ご依頼者様に対し丁寧に説明したことが、早期解決のポイントであったと考えております。

 

当事務所の相続問題解決の特徴

弁護士×家事調停官の強みを生かして

当職にご依頼いただいた場合には、これまでの10年以上にわたる弁護士としての知識・経験のみならず、他の弁護士にはない4年にわたるさいたま家庭裁判所の家事調停官としての知識・経験を活かして、最善のサポートをいたします。

①相続案件に注力

地元密着型の弁護士として相続分野に10年以上携わっており、現在は、受任事件の5割以上が相続関係案件のときもあります。所沢での相続の案件はお任せください。

②ワンストップでの対応が可能

地元の税理士、司法書士、不動産鑑定士等の他士業と2か月に1度の割合で定期的に「所沢相続・事業承継勉強会」を開催し、お互いに切磋琢磨するとともに連携関係を強化しており、ワンストップでの対応が可能です。

③裁判所の考え方を常に念頭に置いた迅速かつ的確な紛争解決

さいたま家庭裁判所の家事調停官としての事件処理の経験を最大限に活かし、中立・公平な裁判所の考え方を常に念頭に置いた上で、依頼者の方の納得のいく解決を目指します。

④精神的負担を最大限軽減

まずは、リラックスしてご相談いただけるよう、なるべく専門用語は使わず、分かりやすい言葉で丁寧に説明することを心がけています。また、相手方との交渉等は、すべて当職が代理人としてお引き受けしますので、ご安心ください。

遺留分侵害額請求でお困りの方は、お早めに相談いただくことで、早期の解決に導くことが可能です。

弁護士が最適な解決に導くサポートをさせていただきます。

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「遺産相続でトラブルになってしまった」

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この記事の執筆者

武蔵野経営法律事務所

弁護士 元さいたま家庭裁判所家事調停官

加藤 剛毅

専門分野

相続、不動産、企業法務

経歴

埼玉県立熊谷高校から早稲田大学法学部に進学。卒業後、平成16年に弁護士登録。平成21年に地元である埼玉に弁護士会の登録替え。平成26年10月より、最高裁判所よりさいたま家庭裁判所の家事調停官(いわゆる非常勤裁判官)に任命され、4年間にわたり、週に1日、さいたま家庭裁判所に家事調停官として勤務し、数多くの相続事件を担当。平成30年5月に武蔵野経営法律事務所を開業し、現在に至る。

家事調停官の経験を活かし、相続事件の依頼者にとって最適な解決に導くサポートを実施している。

家事調停官時代の件数を含めて、相続事件の解決実績は500件以上に上り、地域内でも有数の実績である。

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