大正時代に亡くなった曾祖父名義の土地を相続

相続人の調査を実施~調停申立てへ

依頼者は70代の男性でした。

大正時代に亡くなった曾祖父名義の土地について、遺産分割を完了したいとのご相談を受け、正式にご依頼を受けました。

なお、相続税の申告には期限があるのですが(被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内)、遺産分割自体には期限がないため、このように大正時代に亡くなった曾祖父名義の土地というものも全国にはたくさんあり、遺産分割に期限がないということが、現在、社会問題となっている「空き家空き地問題」の原因の一つになっています(なお、法改正により、今後は一定の期間内に相続登記をすることが義務化され、違反した場合には罰則があります)。

ところで、受任後、戸籍謄本等を収集・調査したところ、最終的に相続人が全国に50名近くいることが判明し、それらの相続人全員と個別に話し合いをすることは事実上不可能でしたので、相続人全員を相手方として、遺産分割調停の申立てをしました。

遺産分割調停~「調停に代わる審判」

調停手続の中で、他の相続人から依頼者に対して「相続分の譲渡」を受けたり、又は「相続分の放棄」をしてもらい、このような相続人を手続から排除してもらうことで、当事者を整理・集約していきました。

相続人は高齢の方が多く、調停手続の途中で亡くなった方もおり、その際には、亡くなった相手方の相続人を新たに相手方に加える必要があったため、相続分の計算も非常に複雑であり、解決には困難を極めました。

そして、不動産会社に依頼して当該不動産の買い手を探し出し、当該不動産を売却処分したうえで、売却代金から諸経費を控除した残金を残された相続人に分配するという内容の「調停に代わる審判」を裁判所に出していただきました。

解決のポイント

本件では、まず、

①相続人を確定するため、漏れなく戸籍謄本等を収集・調査したこと、

②相手方が多数にのぼるため、個別に協議することはほぼ不可能であったことから、家庭裁判所に遺産分割調停の申立てをしたこと、

③知り合いの不動産会社とのネットワークを活かし、当該不動産の買い手を探し出したこと、

④当事者の整理・集約を進め、裁判所に「調停に代わる審判」を出してもらったこと

などが比較的早期に解決に至ったポイントだったと考えております。

この記事の執筆者

加藤 剛毅弁護士 元さいたま家庭裁判所家事調停官
専門分野:相続、不動産、企業法務
経歴:埼玉県立熊谷高校から早稲田大学法学部に進学。卒業後、平成16年に弁護士登録。平成21年に地元である埼玉に弁護士会の登録替え。平成26年10月より、最高裁判所よりさいたま家庭裁判所の家事調停官(いわゆる非常勤裁判官)に任命され、4年間にわたり、週に1日、さいたま家庭裁判所に家事調停官として勤務し、数多くの相続事件を担当。平成30年5月に武蔵野経営法律事務所を開業し、現在に至る。

家事調停官の経験を活かし、相続事件の依頼者にとって最適な解決に導くサポートを実施している。

家事調停官時代の件数を含めて、相続事件の解決実績は500件以上に上り、地域内でも有数の実績である。

相続解決事例の最新記事

遺産分割の解決事例の最新記事

04-2936-8666

04-2936-8666

平日9:00~20:00

お気軽にお電話ください

04-2936-8666

受付時間:平日9:00~20:00