他の相続人の所在が不明で連絡がとれないとのことで遺言執行の代理業務を受任した事例

依頼者の性別と年代

60代 男性

相談内容

相談者のお父様がお亡くなりになったのですが、お亡くなりになったお父様は、生前、全財産を奥様(相談者の母親)に相続させる旨の公正証書遺言をのこされていました。

相続人は、被相続人の妻(相談者の母親)、相談者、相談者の弟及び妹の計4名でした。

公正証書遺言では、相談者の方が遺言執行者に指定されていましたが、相談者の妹さんには精神疾患があり、家族との連絡を絶っていたので、妹と連絡がとれないとのことでした。そこで、相続人である妹さんの所在調査を含め、遺言執行の代理業務を依頼したいとのことで、受任いたしました。

弁護士による解決までの流れ

受任後、まずは、所在不明の妹さんの所在調査から着手しました。職務上請求により、戸籍の附票等を取り寄せたところ、妹さんの現住所が判明しました。

次に、遺言執行者の代理人として、財産目録を作成したうえ、遺言執行者就職及び代理人就任の連絡文書を作成し、各相続人に対し、公正証書遺言と財産目録を添付して、配達証明付き書留郵便で送付しました。また、遺産には不動産と預貯金があったのですが、上記の書類送付と並行して、知り合いの司法書士に依頼し、不動産の相続登記の手続を優先的に進めました。

といいますのは、相続法改正前は、相続させる旨の遺言(改正により、「特定財産承継遺言」と呼ばれるようになりました)があれば、遺言の効力発生と同時に不動産の所有権は相続人に移転し、しかも、登記なくして第三者に対抗することができました。

しかし、相続法改正により、他の相続人が法定相続分に応じた相続登記をしたうえ、自身の共有持分を第三者に譲渡したような場合、特定財産承継遺言により不動産を取得した相続人は、自身の法定相続分を超える部分については、登記なくして、当該第三者に対抗することができなくなってしまいました。そこで、このような不測の事態を回避するため、不動産の相続登記の手続は、優先的に進める必要があるからです。

結果

その後、妹さんに、上記の書類一式が配達された旨の配達証明が戻ってきたのですが、妹さんからは、当方が送付した書類につき、封を開けないまま返送されてきました。当方としては、妹さんに必要な書類一式を送付し、遺留分に関する権利行使の機会を与えたため、これ以上、妹さんに対して何か働きかける必要はないと判断し、引き続き、粛々と遺言執行の代理業務を遂行することにしました。

不動産の相続登記の手続が完了したあと、預貯金口座の解約・払戻し手続に着手し、全ての預貯金口座を解約して預貯金の払戻しを受け、遺言執行の代理業務が全て完了しました。

弁護士所感

最近、本件のように、他の相続人の所在が不明であるとか、他の相続人とは疎遠で連絡をとりたくないとか、他の相続人との間で紛争があるなどの理由で、遺言執行の代理業務をご依頼いただくことが多くなってきています。

そもそも、遺言作成の際、弁護士を遺言執行者に指定しておけば、遺言の執行がスムーズに進むのですが、そうでない場合でも、弁護士に遺言執行の代理業務をご依頼されれば、精神的・時間的な負担を負うことなく、スムーズに遺言の執行をすることが可能ですので、本件のような場合は、是非、弁護士に遺言執行の代理業務をご依頼下さい。

弁護士による遺言執行の代理業務について>>

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この記事の執筆者

加藤 剛毅弁護士 元さいたま家庭裁判所家事調停官
専門分野:相続、不動産、企業法務
経歴:埼玉県立熊谷高校から早稲田大学法学部に進学。卒業後、平成16年に弁護士登録。平成21年に地元である埼玉に弁護士会の登録替え。平成26年10月より、最高裁判所よりさいたま家庭裁判所の家事調停官(いわゆる非常勤裁判官)に任命され、4年間にわたり、週に1日、さいたま家庭裁判所に家事調停官として勤務し、数多くの相続事件を担当。平成30年5月に武蔵野経営法律事務所を開業し、現在に至る。

家事調停官の経験を活かし、相続事件の依頼者にとって最適な解決に導くサポートを実施している。

家事調停官時代の件数を含めて、相続事件の解決実績は500件以上に上り、地域内でも有数の実績である。

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