事前の財産調査に基づき比較的早期に交渉により解決した事例

相談に至った経緯

ご相談者は、40代の男性で、三人兄弟の二男と三男でした。 亡くなった父親が、長男に対し、全財産を相続させる旨の遺言書を残していたことから、遺留分の請求をしたいとのことでご相談がありました。

当事務所の対応

しかし、亡くなった父親の遺産がどうなっているのか不明でしたので、まずは財産調査を行なってみて、その結果に基づいて遺留分の請求をすることになりました。 2か月程度に及ぶ財産調査の結果、ある程度まとまった額の遺産の存在が判明したため、引き続き遺留分請求の交渉案件として受任し、二男と三男の代理人として、長男に対し、遺留分の請求をすることにしました。

当方から長男に対して遺留分請求権を行使する旨の内容証明郵便を発送したところ、長男にも代理人が就き、代理人から当方に連絡がありました。その後、当方から遺留分侵害額について提案する書面を送付したところ、相手方代理人から回答がありました。 その内容は、遺留分算定の基礎財産から葬儀費用等を控除するというものでしたが、遺留分算定の基礎財産から控除できるのは被相続人自身の債務であるところ、葬儀費用等は被相続人自身の債務ではありませんので、控除は認められないことになります。相手方からの主張は、法的には筋が通らない主張と明確に指摘しました。

結果

その結果、当方の提案どおりの金額を支払ってもらうことで早期に合意することができました。

担当弁護士のコメント

本件では、 ①双方に代理人が就いたことで交渉が比較的スムーズに進行したこと、 ②相手方の筋の通らない主張に対してきちんと法的に反論したことが、 早期解決のポイントであったと考えております。

この記事の執筆者

加藤 剛毅弁護士 元さいたま家庭裁判所家事調停官
専門分野:相続、不動産、企業法務
経歴:埼玉県立熊谷高校から早稲田大学法学部に進学。卒業後、平成16年に弁護士登録。平成21年に地元である埼玉に弁護士会の登録替え。平成26年10月より、最高裁判所よりさいたま家庭裁判所の家事調停官(いわゆる非常勤裁判官)に任命され、4年間にわたり、週に1日、さいたま家庭裁判所に家事調停官として勤務し、数多くの相続事件を担当。平成30年5月に武蔵野経営法律事務所を開業し、現在に至る。

家事調停官の経験を活かし、相続事件の依頼者にとって最適な解決に導くサポートを実施している。

家事調停官時代の件数を含めて、相続事件の解決実績は500件以上に上り、地域内でも有数の実績である。

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