不動産の遺産分割について、家裁の審判に納得がいかずに抗告をした結果、高裁で家裁の判断を覆した事例

相談に至った経緯

依頼者は、50代の男性でした。

依頼者によれば、父親がお亡くなりになり、相続人は、依頼者である長男と相手方である弟(二男)の2名でした。依頼者によれば、父親が亡くなった後、弟との間で話し合いをしたが、協議がまとまらなかったため、弟(二男)が弁護士に依頼して調停の申立てをされ、調停不成立で審判手続に移行し、最終的に家裁から出された審判に納得がいかないとのことで、高裁への抗告事件として受任することになりました。

争点

争点は、当事者双方が取得を希望していない不動産について具体的分割方法をどうするかという点で、依頼者としては、当該不動産については全く取得を希望していないにもかかわらず、対立している弟との共有分割とされてしまったことがどうしても納得いかないとのことでした。

当事務所の対応

そこで、私は、抗告理由書の中で、遺産分割における分割方法は現物分割が原則的分割方法であるところ、共有分割は根本的な解決にはならないから問題の先送りにしかすぎず、あくまで最後の手段であること、にもかかわらず、審判が安易に最後の手段である共有分割を採用したことを批判したうえで、本件においても、現物分割が原則的分割方法である以上、問題の先送りを防ぎ、根本的な解決を図るためにも、可能な限り、現物分割を採用すべきであること、具体的には、①本件不動産は、弟の自宅や弟が取得を希望した不動産と物理的距離が近い一方、依頼者の自宅は本件不動産の所在地から遠方であること、②本件不動産の従前の利用状況として、これまで弟が一貫して管理・利用してきた一方、依頼者は本件不動産を一切、管理・利用したことがないばかりか、どこに所在するかさえ知らないこと、③依頼者は、被相続人から弟が本件不動産で畑仕事をするなどしていたことを聞いていたこと、などの事情に鑑みると、本件不動産は、弟が取得すべきであると主張しました。

 

結果

このように、高裁において粘り強く主張・立証を補充した結果、高裁は、家裁の判断を変更し、概ね、当方の主張どおりの判断を出してもらうことができました。

この記事の執筆者

加藤 剛毅弁護士 元さいたま家庭裁判所家事調停官
専門分野:相続、不動産、企業法務
経歴:埼玉県立熊谷高校から早稲田大学法学部に進学。卒業後、平成16年に弁護士登録。平成21年に地元である埼玉に弁護士会の登録替え。平成26年10月より、最高裁判所よりさいたま家庭裁判所の家事調停官(いわゆる非常勤裁判官)に任命され、4年間にわたり、週に1日、さいたま家庭裁判所に家事調停官として勤務し、数多くの相続事件を担当。平成30年5月に武蔵野経営法律事務所を開業し、現在に至る。

家事調停官の経験を活かし、相続事件の依頼者にとって最適な解決に導くサポートを実施している。

家事調停官時代の件数を含めて、相続事件の解決実績は500件以上に上り、地域内でも有数の実績である。

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