「すべての財産を三女に相続させる」とのメモ書きから500万円の遺留分を獲得した事例

人間関係・遺産の全容

  • 依頼者 : 亡くなった男性の次女
  • 相手方 : 亡くなった男性の長女、三女(全員50代後半~60代半ば)
  • 財産 : 秋田の実家(土地・建物)、原野、預貯金など、総額約4,000万円

依頼者の悩み・相談の背景:

お父様が亡くなられた後、ご依頼者の次女は、姉妹間での遺産分割の話し合いが全く進まない状況に直面されていました。特に三女とは仲が悪く、連絡もほとんど取れないという非協力的な態度に、ご依頼者様は「何を言っても聞く耳を持たない」と心底うんざりし、この先の解決が見えないことに深い精神的な辛さを感じていらっしゃいました。さらに、遺産には資産価値の低い原野のような不動産も含まれており、誰も引き取りたがらず、その扱いも大きな問題となっていました。

 

提案内容

ご依頼者様のお話を伺い、まずは遺産分割調停を申し立てました。調停中に相手方の三女から、お父様が残した「遺言書のイメージ」と書かれた手書きの書面が提出されました。この書面は、ほぼ全ての財産を三女に相続させるという内容でしたが、その有効性には疑問符が付くものでした。

当方は、この遺言の有効性を巡って争うと時間や費用が膨大にかかること、また、遺産の総額もそこまで大きくないことを考慮し、遺言が有効であることを前提に、ご依頼者様の「遺留分侵害額請求」として話し合いを進める方針を選択しました。ご依頼者様の遺留分侵害額を約690万円と試算しました。

誰も取得を希望しない原野のような不動産について、当方は、当初、相手方の三女が全て取得するのであれば、代償金を約500万円に減額するという提案を行いました。しかし、三女が単独で不動産を全て取得することに対し不安を口にして、この提案は受け入れられませんでした。

最終的に、誰も取得を希望しない不動産については三姉妹で3分の1ずつ共有取得し、依頼者(次女)と長女へ、それぞれ代償金として約500万円を支払う形で調停を成立させました。共有にすることで将来的な問題が残る可能性を懸念しましたが、ご依頼者様が早期解決を強く望まれたため、その意向を尊重し、調停成立に至りました。

結果として、ご依頼者様は、遺留分侵害額として約500万円を回収することができました。誰も欲しがらなかった不動産は共有という形になりましたが、ご依頼者様は、長年の姉妹間の軋轢と遺産分割のストレスから解放され、安堵の表情を見せていました。

 

弁護士からのひとこと

相続における話し合いで、相手方と連絡が取れない、あるいは非協力的な態度が見られる場合、速やかに調停を申し立てるなど、法的な手段を用いることが解決への近道となります。 また、誰も取得を希望しないいわゆる「負動産」が遺産に含まれる場合、複数の相続人の共有名義にすることは一時的な解決になりますが、将来への問題の先送りにすぎない可能性が高い点に注意が必要です。遺言の有効性という難しい論点がありつつも、依頼者の希望である遺留分の取得を優先して調停を成立させ、遺留分侵害額を確保できました。

この記事の執筆者

加藤 剛毅弁護士 元さいたま家庭裁判所家事調停官
専門分野:相続、不動産、企業法務
経歴:埼玉県立熊谷高校から早稲田大学法学部に進学。卒業後、平成16年に弁護士登録。平成21年に地元である埼玉に弁護士会の登録替え。平成26年10月より、最高裁判所よりさいたま家庭裁判所の家事調停官(いわゆる非常勤裁判官)に任命され、4年間にわたり、週に1日、さいたま家庭裁判所に家事調停官として勤務し、数多くの相続事件を担当。平成30年5月に武蔵野経営法律事務所を開業し、現在に至る。

家事調停官の経験を活かし、相続事件の依頼者にとって最適な解決に導くサポートを実施している。

家事調停官時代の件数を含めて、相続事件の解決実績は500件以上に上り、地域内でも有数の実績である。

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