内縁の妻は相続できますか?
結論から申しますと、内縁の妻には、内縁の夫の遺産を相続する権利はありません。
相続に関しては、民法に様々な規定が置かれています。そのなかで、相続人に関する規定もあります。
まず、被相続人と婚姻した配偶者は、常に相続人となることが定められています。そのほか、被相続人の直系卑属(子や孫など)、直系卑属がいない場合は被相続人の直系尊属(両親など)、直系尊属がいない場合には被相続人の兄弟姉妹が相続人となる旨が定められています。
しかし、民法には、内縁の妻を相続人として認める規定は存在しません。
したがって、たとえ結婚式をあげていたとしても、どんなに長い間夫婦同然の生活をしていたとしても、婚姻していない以上、内縁の妻に内縁の夫の遺産を相続する権利はありません。
生前の対策が必要
そのため、もし、被相続人が内縁の妻に何らかの財産を残したいと思うのであれば、生前に財産を贈与しておくか、遺言により遺贈するなどの方法をとる必要があります。遺贈する場合は、被相続人の子どもたちには遺留分がありますので、遺留分に配慮した形での遺贈を検討する必要があります。
そのほか、生命保険金の受取人を内縁の妻としておくことで、内縁の妻に一定の財産を残す方法も考えられます。
相続人がいない場合は?
なお、今回のケースでは、被相続人である夫に子どもがいる場合を想定していますが、もし、被相続人に相続人が一人もいない場合、利害関係人の申立てにより、家庭裁判所が相続財産管理人を選任し、最終的に、財産が残った場合は、原則として、国庫に帰属することになります。
しかし、内縁の妻が、家庭裁判所で「特別縁故者に対する相続財産分与の申立て」の手続をとることで、遺産の全部または一部を受け取ることができる可能性があります。
このように、婚姻していない内縁の夫婦間で財産を残すには生前にきちんとした対策をとる必要があります。
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この記事の執筆者
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専門分野:相続、不動産、企業法務
経歴:埼玉県立熊谷高校から早稲田大学法学部に進学。卒業後、平成16年に弁護士登録。平成21年に地元である埼玉に弁護士会の登録替え。平成26年10月より、最高裁判所よりさいたま家庭裁判所の家事調停官(いわゆる非常勤裁判官)に任命され、4年間にわたり、週に1日、さいたま家庭裁判所に家事調停官として勤務し、数多くの相続事件を担当。平成30年5月に武蔵野経営法律事務所を開業し、現在に至る。
家事調停官の経験を活かし、相続事件の依頼者にとって最適な解決に導くサポートを実施している。
家事調停官時代の件数を含めて、相続事件の解決実績は500件以上に上り、地域内でも有数の実績である。
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