相続で相手方が弁護士を代理人に立ててきた場合の注意事項

相続問題で相手方(他の相続人)が弁護士を代理人として立ててくることがあります。

その場合、どのようなことに注意し、どのように対応するのがよいでしょうか?

この記事で、わかりやすく説明しますので、是非、参考にしてください。

遺産分割の流れ

遺産分割は、まず、相続人間で協議をし、協議が調わない場合は家庭裁判所で調停を行い、調停も調わない場合は家庭裁判所の審判によって遺産分割方法が決められます(調停で合意に至る余地がまったくないような場合は、調停を経ずに審判をできることもあります)。

協議の段階から弁護士に依頼することもできますし、調停の段階からでも、審判になってから依頼することもできます。

また、弁護士に依頼せずに、すべて一人で進めることも認められています。

相続で相手方が弁護士を代理人に立ててきた場合の注意事項

相続で相手方が弁護士を代理人に立ててきた場合の注意事項として、主として次の2点が挙げられます。

  • 本人と直接交渉してはならない(代理人である弁護士と交渉する)
  • 審判になった場合に下される判断を想定し、これをベースに交渉する(難しい場合はこちらも弁護士を立てる)

2点目について説明します。

前述のとおり、協議や調停が調わない場合は、審判で決することになります。

相手方が弁護士を代理人に立ててきた場合、相手方は、協議による決着にこだわっておらず、審判までもつれることも想定していることでしょう。

弁護士は、審判になった場合にどのような結論が下されるのか、ある程度予想できるので、基本的には、審判になった場合に下されるであろう結論から逆算して交渉してくるでしょうから、あなたも審判になることも想定して交渉に当たらなければなりません。

しかし、あなたの無知に乗じて、あえて、審判ではとても認められないような無理な主張をしてくる可能性もあります。

相手方が無理な主張をしているのかどうかを判断するためにも、やはり、審判になった場合に下されるであろう結論を予測できなければなりません。

そして、そのためには、類似のケースでどのような審判が下されたのかといったことを調べておく必要があります。

ただし、過去の審判例等を調べて主張することは、一般の方には大変難しいでしょう。

また、仮に過去の審判例等を調べることができて反論したとしても、相手方の弁護士は、簡単には引き下がりません。

例えば、「そのケースは本件と○○の点で異なるため、その例は本件においては妥当しない」といったような再反論を加えてきます。

一般の方が、相手方の弁護士と、このような論戦を展開して説き伏せることは、極めて難しいでしょう。

それでは、いっそのこと、協議、調停で折り合わず、審判で裁判所の判断に委ねるという方法はどうでしょうか?

裁判所は中立なので、妥当な結論を導いてくれるのはないかと期待する方もいるでしょう。

確かに裁判所は中立なのですが、論の組み立てや証拠集めは当事者が行わなければなりません。

自分の主張に理があることを、証拠に基づき、論理立てて説明できなければ、裁判所に認めてもらえないのです。

 弁護士は、どのように論理を組み立てて、どのような証拠を提出すれば、主張が認められやすくなるのか熟知していますから、弁護士がついている方が有利になります。 

したがって、相手方が弁護士を立ててきた場合は、正式に依頼をするかはさておき、あなたも早い段階で、一度、弁護士に相談した方がよいでしょう。

弁護士を立てるメリット

弁護士を立てると次のようなメリットがあります。

  • 協議を有利に進めることができる
  • 感情的な対立を避けることができる
  • 遺産の全容を把握できる
  • 遺産分割協議書の作成や相続手続も併せて依頼できる

これらの点について、以下、それぞれ説明します。

協議を有利に進めることができる

遺産分割協議の代理を弁護士に依頼することで、協議を有利に進めることができ、自分が希望する内容で協議を成立させられる可能性が高まります。

弁護士は法律と交渉事のプロフェッショナルです。

弁護士が代理人になることで、相手方が無茶な主張をしている場合は、冷静に法的根拠を基にこれを退けることができ、依頼者の希望する内容で協議を成立させられるように、例えば、次のような観点から交渉に当たります。

相手方が法定相続分以上の財産を取得しようとしていないか。
現物分割以外の分割方法(代償分割換価分割)によって依頼者の希望を実現することはできないか。
依頼者の寄与分を主張することはできないか。相手方が寄与分を主張している場合、これを退けることはできないか。
相手方に特別受益があることを主張することはできないか。相手方が依頼者に特別受益があることを主張している場合、これを退けることはできないか。

このような観点から法定根拠を示して説得力のある主張・立証を行うことは一般の方には難しいものです。

感情的な対立を避けることができる

遺産分割協議で揉める背景に感情的な対立があるケースがほとんどです。

弁護士に依頼すると、余計に相手方を刺激するのではないかと心配される方もいますが、経験豊富な弁護士に依頼すれば、相手方の感情に配慮しつつ、冷静に法的根拠に基づき主張を展開することができるため、感情的な対立を和らげ、協議の成立に導ける可能性が高まります。

もっとも、そのためには、遺産分割及び人生経験等の豊富な弁護士に依頼した方がよいですし、依頼前の面談時に弁護士の人となりについても見定める必要があるでしょう。

遺産の全容を把握できる

弁護士は、相続人本人では情報を収集することが難しい場合であっても、弁護士会を通じて、金融機関や行政機関等に対して、亡くなった人の財産についての情報開示を求めることができる場合があります。

これを「弁護士会照会」又は「23条照会」といいますが、この照会等による遺産の調査によって、一部の相続人が隠していた遺産や誰も気づいていなかった遺産の存在が明らかになり、遺産の全容を把握することができる場合があります。

なお、弁護士会照会によって情報開示を受けられる財産には次のようなものがあります。

預貯金
有価証券
自動車

不動産については、弁護士会照会ではなく、名寄帳を用いて調査することが多いです。

名寄帳は、弁護士でなくても閲覧・取得することができますが、弁護士にまとめて依頼した方が、手間がかからないでしょう。

遺産分割協議書の作成や相続手続も併せて依頼できる

遺産分割協議が成立したら、その内容を文書にします。

この文書を遺産分割協議書といいます。

弁護士に遺産分割協議の代理を依頼した場合は、通常、遺産分割協議書の作成も併せて依頼することができます。

また、名義変更等の相続手続も弁護士や提携する司法書士にワンストップで依頼することができ、スムーズに進めることができます。

弁護士を立てる費用

弁護士を立てた場合の費用について説明します。

弁護士費用は誰が払う?

弁護士費用を払うのは、「弁護士に依頼した方」です。

当事者間に利害の対立がある場合、弁護士は、依頼者の利益になるように主張を組み立て、相手方と交渉します。

なお、弁護士は、裁判所のような中立な機関ではないので、本質的に利害関係が対立する性質を有する相続人全員で一人の弁護士に依頼して妥当な遺産分割方法を決めてもらうというような利用方法は、本来、予定されている弁護士の利用方法ではありません。

このような利用方法であれば、家庭裁判所の遺産分割調停や遺産分割審判の手続を利用する方が一般的でしょう。

弁護士費用の相場

相続問題の主な弁護士費用には、着手金と報酬金があります。

着手金は、弁護士に依頼した段階で支払うもので、仮に遺産分割協議で期待する結果が得られなかったとしても、返金はされません。

報酬金は、遺産分割協議や遺産分割調停が成立したときや、遺産分割審判が下ったときに、その段階で支払うものです。通常、報酬金は、取得することになった遺産の価額に対する割合で設定されます。

ばらつきはありますが、大体、着手金は30万~50万円、報酬金は取得した遺産額の10~16%が相場といえると思います。

相続に強い弁護士の選び方

遺産相続で弁護士を選ぶ際のポイントとして、次の3つが重要であると思います。

  • 相続問題に精通していることが客観的に判断できる
  • コミュニケーションがとりやすい、信頼できる、熱意が感じられる
  • 費用が不合理に高くない

以上、相続で相手方が弁護士を代理人に立ててきた場合の注意事項について説明しました。

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この記事の執筆者

加藤 剛毅
加藤 剛毅弁護士 元さいたま家庭裁判所家事調停官
専門分野:相続、不動産、企業法務
経歴:埼玉県立熊谷高校から早稲田大学法学部に進学。卒業後、平成16年に弁護士登録。平成21年に地元である埼玉に弁護士会の登録替え。平成26年10月より、最高裁判所よりさいたま家庭裁判所の家事調停官(いわゆる非常勤裁判官)に任命され、4年間にわたり、週に1日、さいたま家庭裁判所に家事調停官として勤務し、数多くの相続事件を担当。平成30年5月に武蔵野経営法律事務所を開業し、現在に至る。

家事調停官の経験を活かし、相続事件の依頼者にとって最適な解決に導くサポートを実施している。

家事調停官時代の件数を含めて、相続事件の解決実績は250件以上に上り、地域内でも有数の実績である。

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