生命保険金に対して遺留分請求はできますか?

Q. 他の相続人が受領した生命保険金についても遺留分の請求をすることはできますか。

原則としてできません。

1. 遺留分と生命保険金の関係

死亡による生命保険金については、特定の相続人を受取人にしていた場合には、当該保険金を受領する権利は受取人固有の権利であり、遺産には含まれないとされています(保険証券等をみることにより実際の関係はわかりますが、通常、生命保険の場合には特定の相続人を受取人にしてある場合が多いです)。

そのため、生命保険金は、通常、遺留分の計算の基礎となる財産には含まないとされています。

2. 特別受益と生命保険金の関係

特定の相続人のみが生命保険金を受領する場合、他の相続人との間において不公平となるときもあります。

そのため、「相続人間の不公平が到底容認できないほど著しいものと評価すべき特段の事情」がある場合には、遺留分の基礎となる財産に生命保険金も含めて計算をするものとされています。

このような場合には、特別受益があることに準じると評価されるのがその理由です。

3. 具体的な判断基準

具体的な判断基準としては、主に、「受け取った保険金の額」と「遺産総額」との比率を計算して、不公平が到底容認できないほど著しいかどうかを判断します。その他の事情としては以下のような事情を考慮します。

・同居の有無
・介護等の貢献の度合いなど、保険金受取人である相続人とその他の相続人との関係
・各相続人の生活実態

4. 実際の争い方

生命保険金のみに対して遺留分侵害額請求をするような場合には、失敗すると請求自体が全く認められないという結論になってしまいます。その場合には時間と手間と費用をかけた意味が全くなくなってしまいます。

この場合、生命保険金以外の財産も含めて遺留分侵害額請求をする中で、生命保険金も遺留分侵害額請求の対象とすべきであるという争い方をするのが適切です。このような争い方であれば、裁判所の調停手続などにおいて、柔軟な話し合いを行うことができます。

その上で、適切な水準での和解を目指すということが現実的かつ効果的な争い方といえるでしょう。

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この記事の執筆者

加藤 剛毅弁護士 元さいたま家庭裁判所家事調停官
専門分野:相続、不動産、企業法務
経歴:埼玉県立熊谷高校から早稲田大学法学部に進学。卒業後、平成16年に弁護士登録。平成21年に地元である埼玉に弁護士会の登録替え。平成26年10月より、最高裁判所よりさいたま家庭裁判所の家事調停官(いわゆる非常勤裁判官)に任命され、4年間にわたり、週に1日、さいたま家庭裁判所に家事調停官として勤務し、数多くの相続事件を担当。平成30年5月に武蔵野経営法律事務所を開業し、現在に至る。

家事調停官の経験を活かし、相続事件の依頼者にとって最適な解決に導くサポートを実施している。

家事調停官時代の件数を含めて、相続事件の解決実績は500件以上に上り、地域内でも有数の実績である。

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