どうしても相続させたくない相続人(子どもや兄弟など)がいる場合にはどうすればよいでしょうか?

どうしても相続させたくない相続人がいる場合について

どうしても相続させたくない相続人(子どもや兄弟など)がいる場合「前妻の子には財産を渡したくない」
「親の恩を仇で返した放蕩息子には1円たりとも相続させたくない」
「私を虐待し、侮辱した娘には絶対に相続させたくない」
「私たち夫婦には子がいないが、折り合いの悪いきょうだいには相続させたくない」

このようにお考えの方の方にお読みいただきたい記事となっております。

相続させたくないからといって相続権を一方的に奪うことはできない

相続させたくないからといって相続権を一方的に奪うことはできないそもそも民法には法定相続人は全員平等であり、同じ相続権を持っていると定められていますが、この原則をそのまま受け入れてしまうと不平等・不公平となってしまう場合があります。

なぜなら、被相続人が営んできた家業を継ぐ人や家を支えてきた人と、家や家族を顧みずに好き勝手に外でやっていた人が全く同じ相続権を持ってしまうからです。

被相続人が生きている間に虐待や侮辱を行うなど相続人としてふさわしくない行為をしていた人であっても、他の相続人と等しい権利を与えられてしまう可能性があります。

また、被相続人が配偶者だけに相続財産を与えたいと希望していても、何も対策をとらないと、民法の規定によって被相続人の兄弟姉妹にも相続財産の一部が相続されてしまうのです。

このような状況があるものの、相続制度自体には、被相続人の意思を尊重するという側面がある一方、相続人の生活保障を図るという目的も持ち合わせているため、被相続人が一方的に相続人に付与される相続権を剥奪することは容易ではありません。

しかし、この制度を守った上で、条件によっては相続させたくない相続人が有している相続権を取り上げることができる可能性のある方法を3つご紹介します。

特定の相続人に遺産を渡したくない場合にできる3つの対策

①第三者への遺贈や死因贈与で相続させない

遺贈や死因贈与で相続させない遺贈や死因贈与などによってすべての相続財産を相続人ではない第三者に取得させると、相続できる相続財産がなくなるため、相続させたくない相続人に相続財産が渡らないようにすることが可能となります。

ただし、この方法は、相続させたくない相続人が遺留分をもたない兄弟姉妹である場合には有効ですが、相続させたくない相続人が配偶者や子供などの場合には、最低限の取り分である遺留分の問題があるため、遺贈などを受けた人が相続人である子供などから遺留分を請求されてしまうと、最低限の取り分を取得されてしまうことになります。

遺留分の割合は、相続人が直系尊属のみの場合は3分の1であり、その他のケースでは2分の1となります。つまりこのケースでは、相続財産を贈与や寄付によって処分しても、遺留分請求権を持つ相続人に対しては、定められた割合の金銭を支払う可能性があることを知っておきましょう。

②遺言によって相続させない

遺言で相続させない被相続人の子供が複数人いるケース配偶者が生きているケースでは、遺言によって相続する財産の割合を指定することができます。相続財産を相続させたくない相手には、相続をしない・相続分はゼロと指定することが可能です。

この方法は、遺留分を請求する権利を持っていない被相続人の兄弟姉妹に対しては有効で、相続財産を兄弟姉妹以外に相続させると書き残しておけば、その兄弟姉妹の相続権を奪うことができます。

しかし、「①第三者への遺贈や死因贈与で相続させない」と同様に、被相続人の配偶者・直系尊属・直系卑属にあたる相続人へ付与されている遺留分を侵害することはできません。

被相続人の子供達が遺留分を受け取る権利を持っていることは少し調べれば誰でも知ることができるため、相続財産を受け取れなかった子供が遺留分請求をおこなうことは確実だと考えておくべきでしょう。

ここでお勧めする方法は、遺留分の請求をされないために、遺留分に相当する金額の金銭を遺言によって該当する相続人に残すと指定することです。

法律によって遺留分請求権が付与されている相続人に、相続財産を一切与えないことは簡単ではありません。そのため、遺言によって遺留分の金額に見合う最低限の金銭の取得を保障しておくのです。状況によっては苦肉の策となりえますが、本来の相続額と比べると遺留分のほうが低い金額となるため(通常は法定相続分の2分の1)、少しでも相続させたくない場合にはこの方法が有効だといえます。

③相続人を「廃除」して相続させない

廃除どうしても相続させたくない相続人がいる場合の究極の方法は、「廃除」の制度を利用することです。

相続財産を承継させたくない相続人の相続権を奪ってしまう制度を、相続権の「廃除」といいます。相続権の廃除は、相続人の相続権を強制的に喪失させる強力な方法であるため、推定相続人が以下のような条件を満たしていなければ利用することができません。

1:被相続人に対して一方的な虐待や重大な侮辱を加えたとき
2:著しい非行があったとき

このような要件を満たす推定相続人がいるケースであれば、相続権の廃除が認められる可能性があります。ここでの推定相続人の行為は、単純に犯罪を犯したという程度ではなく、被相続人の財産・精神などに害を及ぼす行為でなければなりません。
相続権の廃除を行うには、生前に、家庭裁判所に廃除の審判の申立てを行う方法(生前廃除)と、遺言によって書き残しておき、自らの死後に遺言執行者によって家庭裁判所に廃除の審判の申立てを行なってもらう方法(遺言廃除)があります。申立てによって家庭裁判所で審判が行われ、相続権の廃除が認められるか否かの判断が言い渡されることになります。

そもそも相続させたくない相続人が、遺留分を有しない相続人である兄弟姉妹である場合には、遺言を作成して、全財産を配偶者に相続させるか、全くの第三者に遺贈する旨の遺言をのこしておけば、兄妹姉妹に相続させることを防ぐことが可能です。

しかし、相続させたくない相続人が遺留分を有する配偶者や子どもである場合には、前述のとおり、最低限の取り分である遺留分があります。そこで、この遺留分すらも剥奪したい場合には、廃除の申立てをして、家庭裁判所に廃除を認めてもらう他、方法はありません。

以上のとおり、どうしても相続させたくない相続人がいる場合には、遺言の作成や廃除の申立て等を検討する必要がありますので、是非、お早めにご相談下さい。

当事務所でお手伝いできること

上記のようにどうしてもご自分の財産を相続させたくない場合に、当事務所の弁護士があなたのご希望になるべく沿った形でのお手伝いをさせていただきます。

①遺留分のない相続人(兄弟姉妹)の場合

どうしてもご自分の財産を相続させたくない相続人が遺留分のない相続人(兄弟姉妹)の場合、「妻(夫)に全財産を相続させる」という内容の遺言を作成しておけば、何の問題もありません。

また、ご自身の配偶者が亡くなった場合独身でそもそも配偶者がいない場合は、第三者(慈善団体等)に「遺贈」する旨の遺言を作成しておけば、折り合いの悪い兄弟姉妹にご自分の財産を相続させないことが可能です。

当事務所では、そのような内容の遺言書(公正証書遺言)の作成のサポートもしております。

②遺留分のある相続人の場合(「廃除」の制度を利用した遺言の作成・執行及び家庭裁判所への「廃除」の申立て)

どうしてもご自分の財産を相続させたくない相続人が遺留分のある相続人(子)の場合、相続人の「廃除」の制度を利用した遺言書を作成し、その遺言書の遺言執行者に弁護士を指定するという方法があります。また、遺言ではなく、生前に家庭裁判所へ相続させたくない一部の相続人に相続させないようにするための「廃除」の申立てをするという方法もあります。

遺言の作成や遺言執行は他の士業や銀行等も扱っておりますが、銀行や他の士業は「廃除」の制度を利用することは断ることが多いと思われますので、「廃除」の制度を利用するには、弁護士に依頼するしか方法がないといってよいでしょう。

もっとも、「廃除」のハードルは非常に高く、実際に裁判所で廃除が認められるのは全体の2割程度といわれておりますので、その点は注意していただく必要があります。
詳しくは、当事務所にてご事情や状況をお伺いしたうえでご提案をさせていただきますので、まずは無料相談にお越しいただければと思います。

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この記事の執筆者

加藤 剛毅弁護士 元さいたま家庭裁判所家事調停官
専門分野:相続、不動産、企業法務
経歴:埼玉県立熊谷高校から早稲田大学法学部に進学。卒業後、平成16年に弁護士登録。平成21年に地元である埼玉に弁護士会の登録替え。平成26年10月より、最高裁判所よりさいたま家庭裁判所の家事調停官(いわゆる非常勤裁判官)に任命され、4年間にわたり、週に1日、さいたま家庭裁判所に家事調停官として勤務し、数多くの相続事件を担当。平成30年5月に武蔵野経営法律事務所を開業し、現在に至る。

家事調停官の経験を活かし、相続事件の依頼者にとって最適な解決に導くサポートを実施している。

家事調停官時代の件数を含めて、相続事件の解決実績は500件以上に上り、地域内でも有数の実績である。

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