遺言書の書き直しは可能ですか?

遺言の書き直しはできますか遺言の書き直し(撤回)は、遺言者が生きている間はいつでも何度でも自由です。

民法では、「遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる」と規定しています。

遺言を撤回する権利は放棄することができないとも定められており、遺言の撤回の自由は強く保護されています。

遺言の書き直し(撤回)は誰ができるの?その方式は?

遺言の撤回(書き直し)は、遺言者である本人のみが行うことができます。

他の人が代理で撤回することはできませんし、相続人が撤回することもできません。

遺言によって前の遺言を撤回する場合には、「遺言の方式に従って」行われなければなりません。「遺言の方式に従って」撤回する場合には、前の遺言と撤回する遺言の方式が異なっていても構いません。例えば、公正証書遺言を以前に作っていた場合に、これを新しく作る自筆証書遺言で撤回することもできるということです。

遺言の撤回とみなされる場合はどういう場合?

明確な撤回の意思表示がない場合でも、一定の事実があったときには遺言の撤回があったものとみなされます。

遺言の撤回があったものとみなされるのは以下の場合です。

ア 前の遺言の内容と抵触する遺言がされた場合
イ 遺言の内容と抵触する生前処分がされた場合
ウ 遺言者が故意に遺言書を破棄した場合
エ 遺言者が故意に遺贈の目的物を破棄した場合

具体例を挙げて解説していきます。

遺言の撤回とみなされる例

あなたには妻Aと子Bがいて、遺言①に以下のように書いていたとします。

• Aに甲不動産を相続させる
• Bに乙骨董品を相続させる

その後に、以下のようなことが起こったとしましょう。

ア あなたが新たに遺言②に「Bに甲不動産を相続させる」と書いた場合

甲不動産について、遺言①の「Aに相続させる」という部分と遺言②の「Bに相続させる」という部分が抵触している状態になっています。

遺言者は、遺言の方式に従って、その一部又は全部を撤回することができるとされていますので、遺言①の「Aに相続させる」という内容は撤回されたことになります(民法1022条、1023条1項)。

また、死後に複数の遺言が発見された場合、一番新しく作成された遺言が優先しますので、新しい日付の遺言が前の日付の遺言の内容と抵触する場合は、前の遺言の抵触する部分は撤回したものとみなされます。

イ あなたが生前に甲不動産をCに売却した場合

甲不動産について、「Aに相続させる」という内容と生前にCに売却したという事実は、甲不動産の処分というところで抵触してしまっています。

このような場合にも、抵触をしている部分は撤回したものとみなされます(民法1023条2項)。

ウ あなたが遺言①をシュレッダーにかけた場合

遺言書自体が遺言者によって破棄されています。

遺言者がこれを遺言書であるとわかって破棄する意思で破棄をしたときには、破棄した部分について、遺言が撤回されたものとみなされます(民法1024条前段)。

遺言①の全てをシュレッダーにかけた場合には、遺言①は全て撤回されたということになります。

エ あなたが生前に壊れた乙骨董品を捨てた場合

乙骨董品を生前にあなたが捨てています。

この場合にも、乙骨董品の部分(破棄した部分)について、遺言が撤回されたものとみなされます(民法1024条後段)。

このように、一度書いた遺言も何度でも撤回することができますし、その遺言に抵触する行為などがなされることにより、一度書いた遺言が撤回したものとみなされることになります。

最後に

遺言を書くのに早すぎるということはありません。

一度書いた遺言の内容が、状況や遺言者の気持ちの変化に応じて相応しくなることもありますが、そのときは適切な方法で書き直すことにより、その時々の状況や自分の気持ちに応じた遺言を残すことが可能です。

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この記事の執筆者

武蔵野経営法律事務所

弁護士 元さいたま家庭裁判所家事調停官

加藤 剛毅

専門分野

相続、不動産、企業法務

経歴

埼玉県立熊谷高校から早稲田大学法学部に進学。卒業後、平成16年に弁護士登録。平成21年に地元である埼玉に弁護士会の登録替え。平成26年10月より、最高裁判所よりさいたま家庭裁判所の家事調停官(いわゆる非常勤裁判官)に任命され、4年間にわたり、週に1日、さいたま家庭裁判所に家事調停官として勤務し、数多くの相続事件を担当。平成30年5月に武蔵野経営法律事務所を開業し、現在に至る。

家事調停官の経験を活かし、相続事件の依頼者にとって最適な解決に導くサポートを実施している。

家事調停官時代の件数を含めて、相続事件の解決実績は500件以上に上り、地域内でも有数の実績である。

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この記事の執筆者

加藤 剛毅弁護士 元さいたま家庭裁判所家事調停官
専門分野:相続、不動産、企業法務
経歴:埼玉県立熊谷高校から早稲田大学法学部に進学。卒業後、平成16年に弁護士登録。平成21年に地元である埼玉に弁護士会の登録替え。平成26年10月より、最高裁判所よりさいたま家庭裁判所の家事調停官(いわゆる非常勤裁判官)に任命され、4年間にわたり、週に1日、さいたま家庭裁判所に家事調停官として勤務し、数多くの相続事件を担当。平成30年5月に武蔵野経営法律事務所を開業し、現在に至る。

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