相続人が行方不明の場合はどうすればいいか?

ケース①-行方不明の相続人が所在調査で判明した場合

相続人のうちの誰かが行方不明の場合は遺産分割協議が進められませんので、相続人の所在調査をすることになります。

私が実際に受任した案件では、行方不明の相続人は薬物犯罪で実刑判決を受け、全国のどこかの刑務所にて服役中とのことでした。

このため、私は、「弁護士法に基づく照会制度」を利用し、弁護士会を通じて法務省の担当部署に照会したところ、その相続人が収容されている刑務所が判明しました。

なお、「弁護士法に基づく照会制度」とは、弁護士法23条の2に基づくもので、弁護士会が、官公庁や企業などの団体に対して必要事項を調査・照会する制度をいいます。

この事案では、行方不明の相続人の現在の居場所に関し一定の情報を得られ、弁護士法に基づく照会制度を利用して相続人の所在を突き止めることができたことが、比較的早期の解決につながったポイントでした。

ケース②-行方不明の相続人の所在が判明しない場合は「不在者財産管理人」を選任する

所在調査をしても行方不明の相続人の所在が判明しない場合は、当該所在不明の相続人のために、家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任の申立てを行う必要があります。

「不在者財産管理人」とは、行方不明者がいる場合に、行方不明者の財産を本人に代わって管理する者のことで、利害関係人等の請求により家庭裁判所が選任します。

遺産分割は相続人全員で行う必要があるため、相続人の中に行方不明の者がいる場合、その者に代わって財産を管理する不在者財産管理人を家庭裁判所に選任してもらう必要があります。

不在者財産管理人は、申立人が候補者を推薦すると、裁判所は、特段問題がない限り、申立人が推薦した候補者を管理人に選任してくれます。

私が実際に受任した案件では、知人の司法書士を管理人候補者として推薦し、不在者財産管理人を選任してもらいました。

〔コラム:弁護士による所在調査の限界〕

相続事件を扱っていると、しばしば行方不明者に遭遇します。

このような場合には、当該対象者の戸籍謄本を取り寄せ、その本籍を頼りに市区町村役場に「戸籍の附票」という書類を取り寄せます。
「戸籍の附票」には住所の変遷が記載されており、現在、住民登録している地が判明します。

もっとも、当該対象者が住民票の届け出をしないで行方をくらました場合には、それ以上、調査することは難しくなります。

この場合、最後の住民票上の住所に行って近所の人から聴き取りをする方法や親族を探して行方を尋ねる方法などにより調査をすることになります。このような方法でも行方が判明しない場合には、前述のとおり、不在者財産管理人の選任申立てをすることになります。

このように、弁護士による所在調査にも限界があるのです。

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この記事の執筆者

加藤 剛毅弁護士 元さいたま家庭裁判所家事調停官
専門分野:相続、不動産、企業法務
経歴:埼玉県立熊谷高校から早稲田大学法学部に進学。卒業後、平成16年に弁護士登録。平成21年に地元である埼玉に弁護士会の登録替え。平成26年10月より、最高裁判所よりさいたま家庭裁判所の家事調停官(いわゆる非常勤裁判官)に任命され、4年間にわたり、週に1日、さいたま家庭裁判所に家事調停官として勤務し、数多くの相続事件を担当。平成30年5月に武蔵野経営法律事務所を開業し、現在に至る。

家事調停官の経験を活かし、相続事件の依頼者にとって最適な解決に導くサポートを実施している。

家事調停官時代の件数を含めて、相続事件の解決実績は500件以上に上り、地域内でも有数の実績である。

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