遺産分割調停を申し立てするためにどのような準備が必要か?

遺産分割調停は、家庭裁判所に対し、相続人の1人又は数人が残りの相続人を相手方として申立てをするものです。

では、遺産分割調停を申し立てる際に必要なこととは何でしょうか。具体的に解説していきましょう。

遺産分割調停の申立てに必要な書類

遺産分割調停の申立てをするためには、裁判所に提出する書類を取得し、又は作成する必要があります。必要書類は裁判所が指定しています。

なお、申立てを行う裁判所によって異なる場合もあるので、実際に申立てを行う裁判所に問合せをしてみるとよいでしょう。

・調停の申立書
(当事者等目録、遺産目録、相続関係図、事情説明書、進行に関する照会回答書、申立書添付書類一覧表兼チェックリスト)
・収入印紙(被相続人の人数に伴って変動)
・郵便切手(相続人の人数に伴って変動)
・被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍(除籍謄本,改製原戸籍謄本等)の原本全て
・直近3か月以内に取得した相続人全員の現在の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)の原本
・被相続人の住民票の除票の原本(すでに廃棄してしまっている場合は戸籍の附票の原本)
・直近3か月以内に取得した相続人全員の住民票の原本

〇遺産目録に記載されている財産に関する資料

・直近3か月以内に法務局で取得した不動産登記事項証明書(登記簿謄本)の原本
・直近3か月以内に市町村役場で取得した固定資産評価証明書
・申立ての時点での預貯金の残高証明書の写し、又は通帳や証書の写し
・株式等の有価証券の残高証明書の写し
・運輸局等で取得した自動車の登録事項証明書の写し、又は車検証の写し
・【相続税の申告をしている場合】相続税申告書の写し
・【遺言書がある場合】遺言書の写し

なお、裁判所のウェブサイトにフォーマットが用意されておりますので、ご参考までにご覧ください。

参考:裁判所ウェブサイト

申立書の作成方法

当事者自身が遺産分割調停の申立てをする場合に必要となる「申立書」は書式が決まっており、記載項目としては下記のようになっております。

・申立てをする人の氏名・申立先の裁判所名
・添付書類(上記に記載しております)
・被相続人名・最後の住所
・申立ての趣旨・理由

そのほか、当事者等目録、遺産目録については裁判所のウェブサイトにもまとめられておりますので、あわせてご参照ください。

参照:裁判所のウェブサイト

調停にかかる期間

遺産分割調停は、「調停期日」といって、裁判所から調停を行う日(期日)の指定がなされます。期日には裁判所に出頭し、調停委員にあなたの主張を伝えていくことになります。

裁判所が毎年まとめている「司法統計」によれば、その「調停期日」の数は2~3回であれば少ないほうで、多くの場合は6~10回程度設けられます。場合によっては20回を超えることもあります。

そして、期間としては、多くの場合は半年~1年程度ですが、長い事案ですと3年を超えることもあり、場合によっては長期にわたることもあります。

 

遺産分割調停を有利に進めるために

では、遺産分割調停を有利に進めていくために、当事務所の弁護士から調停期日の流れやポイントを解説いたします。

遺産分割調停期日の流れ

初回の調停期日については、申立人と調整のうえ、裁判所が指定します。

期日には裁判所に出頭し、調停委員に自らの主張を伝えていくことになります。裁判所には他の相続人も集まりますが、基本的には相手方と同席することはありません。

ご自分が調停委員と話をしている時間以外の待ち時間は待合室で待機することになりますが、その待合室も申立人と相手方とで分かれているため、基本的に、遺産分割調停の申立人と相手方が裁判所で顔を合わせることはありません。

※なお、初回は当事者全員に手続内容等を説明するため調停室に同席して顔を合わせる場合があり、また、調停が成立した際にも調停室に同席して顔を合わせる場合があります。

前述のとおり、通常は調停期日を積み重ねて調停の成立を目指していきます。全相続人が納得して調停がまとまると、調停調書が作成されますが、調停調書に記載された条項には確定判決と同じ効力があり、従わなければ強制執行をすることもできる法的効力を持つことになります。

有利に進めるために気をつけること

遺産分割調停を有利に進めるためには、調停委員と裁判官に納得してもらえるように、ご自分の権利を最大限確保できる法的主張を丁寧に組み立て、証拠を提出することが重要になります。その際、調停がまとまらずに審判(後述)に移行することを見据えながら対応することが重要です。

なぜなら、調停を進める調停委員をとりまとめる裁判官が、原則として、その後の審判手続を担当しますので、調停時に不利になっている場合、審判に移行してから不利な状況を打開するのは難しいことが少なくないからです。

この記事の執筆者

加藤 剛毅弁護士 元さいたま家庭裁判所家事調停官
専門分野:相続、不動産、企業法務
経歴:埼玉県立熊谷高校から早稲田大学法学部に進学。卒業後、平成16年に弁護士登録。平成21年に地元である埼玉に弁護士会の登録替え。平成26年10月より、最高裁判所よりさいたま家庭裁判所の家事調停官(いわゆる非常勤裁判官)に任命され、4年間にわたり、週に1日、さいたま家庭裁判所に家事調停官として勤務し、数多くの相続事件を担当。平成30年5月に武蔵野経営法律事務所を開業し、現在に至る。

家事調停官の経験を活かし、相続事件の依頼者にとって最適な解決に導くサポートを実施している。

家事調停官時代の件数を含めて、相続事件の解決実績は500件以上に上り、地域内でも有数の実績である。

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